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更新日時:2025.01.21
カテゴリー:blog

ノーコードツールを利用した自社用システム開発のリスクと弊害

ノーコードツール

1.はじめに

ノーコードツールは、プログラミングスキルがなくても直感的にシステムを作成できる便利な技術です。
中小企業やスタートアップにとってコスト削減や迅速な開発が期待されますが、
過去に多く活用されていたAccessと同様「ノーコードだから簡単」と考えてシステム開発の専門知識がない社員に任せることには大きなリスクが伴います。

本記事では、ノーコードツールの特性を踏まえつつ、システム開発のリスクと弊害について解説します。

2. 基本設計や要件定義の欠如

システム設計ノープラン

ノーコードツールは操作が簡単である一方で、
システムの設計や要件定義が曖昧なまま開発が進むケースがよくあります。

  • 要件の誤解
    システム素人の社員は、ビジネス要件を適切にシステムに反映させることが難しく、結果として利用価値の低いシステムが完成する可能性があります。
  • 長期的な視点の欠如
    初期開発時には満足できるものができても、将来的な拡張や他システムとの連携を見据えた設計がなされないことが多いです。

3.システムの複雑化と管理負荷

ノーコードツールは「簡単」と言われる反面、運用・管理の視点から見ると別の問題が浮上します。

  • ブラックボックス化
    ノーコードツールで作成したシステムは、特定のプラットフォームに依存することが多く、他の人が中身を理解しにくい「ブラックボックス」となる可能性があります。担当者が退職した場合、新たにシステムを引き継ぐことが難しくなることも。
  • ツール特有の制約
    ノーコードツールには標準的な機能が豊富ですが、複雑なビジネス要件に対応しようとすると無理が生じます。この結果、設計が複雑化し、後々の修正が困難になる場合があります。

4.セキュリティリスクの見落とし

ノーコードツールの利用では、セキュリティに関する知識が不足していることが問題となります。

  • 脆弱性の見過ごし
    システム素人は、データの暗号化やアクセス制限など、セキュリティ面での重要性を十分に理解していない場合があります。そのため、不正アクセスや情報漏洩のリスクが高まります。
  • 第三者依存のセキュリティ
    ノーコードツール自体にセキュリティの弱点がある場合、ユーザー側で制御するのが難しいため、依存リスクが大きくなります。

5.ビジネスへの悪影響

適切に作られなかったシステムが業務に与える影響は無視できません。

  • 業務の非効率化
    ノーコードツールで作られたシステムが使いにくいと、業務がかえって煩雑になる可能性があります。
  • 顧客対応の低下
    不安定なシステムが原因でサービス提供に支障が出れば、顧客満足度やブランドイメージを損ねるリスクがあります。

6.成果物の短命化

ノーコードツールは、短期間での開発には優れていますが、長期間にわたる利用には課題が残ります。

  • 拡張性の欠如
    ビジネスの成長に合わせてシステムを拡張しようとした際、ノーコードツールの制約により対応できなくなる場合があります。
  • ツールの終了リスク
    ノーコードプラットフォームが終了したり、価格体系が変更されたりした場合、システム全体を作り直す必要が生じることもあります。

7.社員の負担とモチベーション低下

システムの知識がない社員にノーコードツールを使わせることで、業務外の負担が大きくなることがあります。

  • 過剰な期待とプレッシャー
    システム素人にノーコードだから簡単と安易に任せると、社員が過剰なプレッシャーを感じる場合があります。これがストレスや離職につながる可能性も。
  • 本業の支障
    本来の業務とシステム開発の両立が難しくなり、全体的な生産性が低下するリスクがあります。
  • メンテナンスの属人化
    システムに関する微修正などの業務が社員に付いてまわると同時に
    メンテナンス業務は終わった案件となっており社内評価されないことも。

リスクを最小限に抑えるためのアプローチ

システム開発のリスクを下げる

ノーコードツールを活用する際には、以下のような対策が有効です:

  1. プロフェッショナルの関与
    ノーコードツールを利用する場合でも、システム設計やセキュリティ設定には専門家の助言を得るべきです。
  2. 基本的な教育の実施
    ノーコードを使用する社員には、最低限のシステム設計やセキュリティに関するトレーニングを実施します。
  3. ツール選定を慎重に行う
    拡張性やセキュリティに優れたツールを選び、将来的なリスクを抑えます。
  4. 業務に精通した社員との連携
    IT知識が不足している場合でも、業務フローを深く理解した社員が関与することで、ビジネス要件を的確に反映したシステムを作ることが可能です。

8.まとめ

ノーコードツールは、確かに便利で有用な技術ですが、「簡単だから」といってシステム素人に開発を任せることには多くのリスクが伴います。

専門知識なしの社内開発は短期的なコスト削減につながる一方で、長期的なトラブルやコスト増加を招く可能性が高いです。ノーコードツールを活用する際には、適切な人材配置と教育、そしてリスクへの備えを怠らないことが重要です。

「ノーコードでも油断しない」視点で、長く使える価値あるシステムを目指しましょう!

#システム開発 #ノーコード #オーダーメイドシステム

水谷友彦

この記事を書いた人

株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦

中小企業の業務効率化を
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