中小企業におけるシステム内製化の難しさと乗り越え方

1.はじめに
近年、多くの中小企業が業務の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のために、ITシステムの導入を進めています。その中で、「システムを外部に依存せず、自社で開発・運用したい」という 「システム内製化」 の動きも増えています。
しかし、実際には 「思ったより難しい」「途中で挫折した」 という声も少なくありません。本記事では、中小企業におけるシステム内製化の難しさと、その乗り越え方について解説します。
2. システム内製化のメリットとは?

企業がシステムを内製化する理由には、以下のようなメリットがあります。
コスト削減 – 外部ベンダーに依頼するよりも、長期的に見れば開発・運用コストを抑えられる。
柔軟な対応 – 自社で開発・改修できるため、業務の変化に素早く対応可能。
ノウハウの蓄積 – ITに関する知見が社内に残り、継続的な改善がしやすくなる。
しかし、これらのメリットを享受するには、多くの課題を乗り越えなければなりません。
3.システム内製化の主な難しさ

(1) IT人材の確保が難しい
中小企業では、エンジニアを雇用するのが難しく、既存の社員が兼任するケースも多いです。しかし、プログラミングやシステム設計の専門知識がないまま進めると、途中で開発が止まったり、トラブル対応ができなくなったりするリスクが高まります。
(2) 短期的なコスト増加
システム内製化は長期的なコスト削減につながりますが、最初の段階では 人材育成、ツール導入、環境構築 などのコストが発生します。初期投資の負担が大きく、予算確保が難しい企業も多いでしょう。
(3) 業務との両立が困難
特に中小企業では、システム開発を担当する社員が 通常業務と兼任 していることが多く、開発に割ける時間が限られています。その結果、開発が遅れたり、仕様が途中で変わったりしてプロジェクトが迷走することもあります。
(4) 運用・保守の負担が大きい
システムは開発して終わりではなく、定期的な メンテナンス・アップデート・セキュリティ対策 が必要です。しかし、ITの専門知識がないと、トラブル発生時に対応できず、結局外部ベンダーに頼ることになるケースもあります。
(5)IT人材退職のリスク IT人材は不足している傾向にあり。高い報酬額を提示されて転職するエンジニアも数多くいるのが実情です。このことから内製で作ったシステムの属人化は避けなければなりません。社内で最低2人はシステムを触れるようにするか、いざというときは外部ベンダーを頼れる構えを持つ必要があります。
4.システム内製化を成功させるためのポイント

(1) 段階的な導入を意識する
最初からすべてを内製化するのではなく、 「小規模なシステム開発」 から始めるのがおすすめです。例えば、業務の一部を自動化するツールの開発や、ノーコード/ローコードツールを活用した簡単なシステム構築から始めることで、負担を抑えながら経験を積めます。
(2) 社内のIT人材育成を強化する
エンジニアの採用が難しい場合、 既存社員のITスキルを向上させる ことも有効です。外部研修を活用したり、実際の開発プロジェクトを通じてスキルを習得させたりすることで、徐々に社内にITノウハウを蓄積できます。
(3) 外部の専門家を上手に活用する
完全に自社開発するのではなく、 必要に応じて外部のITコンサルタントやフリーランスのエンジニアと協力 するのも一つの手です。最初のシステム設計や技術選定の部分だけ外注し、その後の運用・改修を社内で行う形にすれば、負担を減らしながら内製化を進められます。
(4) DX推進のための経営層の理解を得る
システム内製化は、経営層の理解とサポートが不可欠です。DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を経営層に理解してもらい、 「システムを活用して業務を最適化する」という意識を社内に浸透 させることが成功のカギとなります。
5.まとめ
中小企業におけるシステム内製化は、多くのメリットがある一方で、 「IT人材の確保」「コスト負担」「業務との両立」「運用の負担」 などの課題も伴います。しかし、 小規模な開発から始める、IT人材を育成する、外部の力を適切に活用する ことで、内製化の成功率を高めることができます。
全てを自社でまかなうのが難しい場合でも、 外部リソースを活用しながら、徐々に内製化を進める戦略 を取れば、現実的な形でシステムを自社の強みに変えることが可能です。
「システムを内製化したいが、どこから手をつければいいか分からない」「部分的にでも内製化を進めたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の状況に合わせた最適な内製化戦略をご提案いたします!
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この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
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