製造業向け:原価管理“必須8画面”を名古屋流で解説
Contents
- 製造業向け:原価管理“必須8画面”を名古屋流で解説
- 1.はじめに
- 2. 品目と原価要素の“正本”を置く(マスター画面)
- 3. 製番と作業手順(部品表/ルーティング)を“短く”定義する
- 4. 材料の出庫を“バーコード一発”に寄せる(材料実績画面)
- 5. 工数の記録は“1秒×100回/日”を削る(工数実績画面)
- 6.出来高と不良を“同じ画面”で閉じる(出来高画面)
- 7.外注と受入の“境目”を明るくする(外注・受入画面)
- 8.原価集計と差異を“時間順に並べる”(原価集計画面)
- 9.見積原価と標準原価を“同じ土俵”に(標準・見積画面)
- 10.名古屋流のコツ:完コピより“Ver1の速さ”、連携は“細い管”から
- 11.スケジュールの目安:3ヶ月で“数字がつながる”体験を作る
- 12.よくあるつまずきと、避け方
- 13.次の一歩
1.はじめに

原価管理は“難しい仕組み”の話ではなく、材料・工数・出来高・差異という4つの現実を、同じ線上に並べる作業です。
まずは最小構成でいい。8つの画面をつないで、数字が自然に流れる小さな川を作る
ここから始めれば、帳簿の辻褄合わせに追われる日々から抜け出せます。
名古屋・愛知の現場で効いた“名古屋流”を、読み物として整理しました。
2. 品目と原価要素の“正本”を置く(マスター画面)
最初に決めるのは、品目ごとの原価の持ち方です。
材料費・外注費・加工費(工数)などの原価要素をどの粒度で記録するか、どの単位で集計するか。
コード体系を品目マスターと同じリズムで持たせると、後工程がスムーズに流れます。
重要なのは、最初から完璧にしないこと。
まずは主要製番・主力品目の原価要素だけを“正本”として置き、運用の中で増やしていきます。
3. 製番と作業手順(部品表/ルーティング)を“短く”定義する
部品表とルーティングは地図です。
材料がどの順番で使われ、どの工程で何分かかるのかを、短く言語化しておきます。
いきなり全工程を作り込む必要はありません。
差が出やすい工程(例:切削、塗装、組立)の代表手順だけ入れて、残りは共通工程として扱う。
これだけで、後の差異分析が“現実に使える粒度”になります。
4. 材料の出庫を“バーコード一発”に寄せる(材料実績画面)

原価が狂う最大の入り口は、材料の出庫です。
ここはバーコード一発→数量→確定のテンポを徹底します。
ロットや有効期限、ロケーションはスキャンで候補が出るようにして、キーボード入力を極力なくす。
作業者が迷わないほど、在庫と原価は素直に合っていきます。
CSVでもAPIでもかまいません、既存WMS(倉庫管理システム)とつながる“細い管”を作っておきましょう。
5. 工数の記録は“1秒×100回/日”を削る(工数実績画面)
工数は体感の速さが命です。
作業者は担当コードを読み、工程をタップし、開始・終了をワンタッチ。
理由が必要な中断だけ、短い選択肢から選ぶ。
個人単位とライン単位の両方で記録できるようにし、集計は製番・工程・日別で自動に回します。
面倒さを感じない工数入力が、原価の精度を一段引き上げます。
6.出来高と不良を“同じ画面”で閉じる(出来高画面)
出来高の入力と同時に、不良の区分(手直し・廃棄・横流し)を同じ画面で確定させます。
ここを別フローにすると、数字が分離して差異の理由が霧散します。
写真添付や一言メモが入るだけで、後の振り返りが“推理”から“確認”に変わります。
7.外注と受入の“境目”を明るくする(外注・受入画面)
外注費は、見積・発注・検収の3点で握るのがコツです。
受入検査の結果と出来高が同期するように、外注の検収画面を用意しておくと、製番別の外注原価がブレません。
帳票はV1でA4のミニ版、V2で体裁を整える順番が安全です。
8.原価集計と差異を“時間順に並べる”(原価集計画面)

製番別・品目別に、材料・外注・工数・経費が時系列で並ぶ画面を用意します。
月次の総括より、まずは昨日までの流れが見えること。
標準原価との差を“金額の棒”として出し、差異の山をタップすると、材料の過剰・工数の延び・不良の増加などの“源泉”が遡れる。
この「たどれる感」が、対策の速さを決めます。
9.見積原価と標準原価を“同じ土俵”に(標準・見積画面)
営業の見積原価と、工場の標準原価が同じ項目体系で比較できると、受注前の判断が強くなります。
BOMの改定や段取り改善が反映されたときは、標準原価と見積テンプレの両方に同時反映できる導線を作っておくと、営業と製造の会話がかみ合います。
10.名古屋流のコツ:完コピより“Ver1の速さ”、連携は“細い管”から
帳票の完コピを最初から狙うと、途端に重くなります。
Ver.1は必要最小限のA4で発行し、運用で足りない欄だけVer.2で足すほうが、現場は速く回ります。
既存の販売管理や会計とは、APIがなくてもCSVで構いません。
決まった時刻に確実に回す“細い管”から始め、必要箇所だけ後からリアルタイム化すれば十分です。
11.スケジュールの目安:3ヶ月で“数字がつながる”体験を作る

最初の2〜3週間で、品目・原価要素・代表ルーティングを短く定義し、材料出庫と工数入力のMVP(最小限の機能)を動かします。
次の2週間で出来高と不良を同画面に寄せ、外注検収の簡易版を通す。
2ヶ月目の終わりには、製番別の原価時系列が見え、差異の山が指でたどれるはずです。
3ヶ月目は標準原価と見積原価を同じ土俵に上げ、営業との“前倒しの会話”を開始します。
ここまで来れば、月次締めのストレスは目に見えて減っていきます。
12.よくあるつまずきと、避け方
最初の壁はコードの揺れです。品目・得意先・工程の呼び方を1ページの辞書で固定し、画面の選択肢に埋め込みます。
次は“紙の良さ”の置き換え。紙より遅いUIは定着しません。
バーコードとテンキーで“1秒短い”ことを体感させると、自然に使われます。
最後は過剰なリアルタイム主義。
まずは確実な時刻連携(15〜60分)で安定させ、必要箇所だけ後から速くするのが、名古屋の現場では結局いちばん早道です。
13.次の一歩
まずは無料相談でお気軽にご相談ください
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この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
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