AS400を使い続けて何が悪いのか?—2025年問題を含めたリスクと対策

1.はじめに
IBMの**AS/400(現:IBM i)**は、1988年に登場した堅牢なシステムで、多くの企業で今も現役です。
しかし、2025年を目前に控え、AS400を使い続けるリスクがますます顕在化しています。
本記事では、AS400を使い続ける問題点と、2025年問題を絡めたリスク、そして今後の対策について詳しく解説します。
2. そもそもAS400とは?
AS400(現在はIBM i)は、IBMが開発したミッドレンジコンピュータで、高い信頼性と安定性を誇るシステムです。
製造・流通・金融業界などを中心に、30年以上にわたって運用されてきました。特に、日本企業ではレガシーシステムとして根強く残っているのが現状です。
3.AS400を使い続けることの問題点
① 技術者の高齢化と人材不足(2025年問題)
2025年問題とは、IT人材の大量退職によるシステム維持の危機を指します。AS400を扱える技術者の多くは50〜60代であり、引退が進むとシステムを維持できなくなる可能性が高まります。特に、RPG(Report Program Generator)言語を扱える技術者が減少しており、新たに人材を確保するのは困難です。
影響
- システム障害が発生しても、修正できる技術者がいない
- 運用コストが高騰(技術者の希少価値が上がるため)
- 若手がAS400を学びたがらず、技術継承が難航
② ハードウェアの老朽化とコスト増
AS400のハードウェアは長期間運用に耐えうる設計ですが、それでも経年劣化は避けられません。特に、古いモデルのパーツは入手が困難になっており、保守費用が高騰しています。
影響
- 故障時の対応に時間とコストがかかる
- メンテナンス契約費用が上昇
- 最悪の場合、業務が停止
③ システムのブラックボックス化
AS400はカスタマイズ性が高いため、多くの企業が長年にわたって独自の改修を繰り返してきました。
その結果、**現在の担当者ですらシステム全体を把握できない「ブラックボックス化」**が進んでいます。
影響
- 仕様書がない、または不完全である
- ちょっとした改修にも時間がかかる
- 他のシステムとの連携が難しい
④ クラウド・DXとの相性が悪い
現代の企業はクラウド化やDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めています。
しかし、AS400はレガシー技術のため、クラウドとの親和性が低いです。
API連携も難しく、DX推進の大きな障壁となっています。
影響
- クラウド移行が難しい
- データ活用(BIツールなど)が困難
- 競争力の低下
4.2025年問題がAS400企業に与える影響
2025年以降、AS400を使い続ける企業は以下の問題に直面する可能性が高まります。
問題 | 影響 |
技術者の引退 | システム改修・保守ができなくなる |
企業のDX化遅れ | 競争力低下、ビジネス機会損失 |
保守コストの増大 | 維持費が増加、ROI(投資利益率)悪化 |
ハードウェアの寿命 | 故障時の影響が大きくなる |
「なんとかなる」と考えて放置すると、いざ問題が発生した際に業務停止やシステム移行の緊急対応が必要になり、莫大なコストが発生します。
5.AS400を使い続けるための対策と移行戦略

(1)短期的対策:既存環境の延命
- 技術者の確保・育成(RPGエンジニアの教育)
- ハードウェアの予防保守(パーツ在庫の確保)
(2)中長期的対策:モダナイゼーション(近代化)
- IBM iの最新バージョンへ移行(AS400の新モデルに移行)
- クラウドリフト(IaaS移行)(AS400を仮想環境に移す)
- リプレイス(新システムへの移行)(AWSなどのクラウドへ移行)
(3)最終的な移行計画の策定
AS400を完全に置き換える場合、段階的に移行する計画を立てる必要があります。
- 現行システムの分析(どの業務をAS400が担っているか)
- 新システムの選定(ERPやクラウドシステムの導入)
- データ移行計画の作成(互換性を考慮)
- 業務フローの変更(新しいシステムへの適応)
- テスト運用と本番移行
6.まとめ
AS400は信頼性の高いシステムですが、2025年問題に直面し、今後の継続利用にはリスクが伴います。
特に、技術者不足・保守コストの増大・DXの遅れは、企業にとって大きな課題です。
今後のポイント
✅ 短期的には保守・延命策を実施
✅ 中期的にはモダナイゼーションを進める
✅ 長期的にはクラウドやERPへ移行を検討
「AS400を使い続けるのが悪い」のではなく、適切な対策を取らないことが問題です。今こそ、将来を見据えた計画を立てるタイミングではないでしょうか?
あなたの会社はAS400の将来についてどう考えていますか?
ぜひ、今の状況を見直し、適切な対応を検討してみてください。
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この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
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