AS400(IBM iSeries)を使い続けるメリットとデメリット
はじめに
AS400(現在の名称はIBM iSeriesまたはIBM i)は、1988年にIBMが発表したミッドレンジコンピュータシステムで、企業のビジネスアプリケーションを実行するために設計されました。
AS400は、30年以上にわたって企業のビジネスアプリケーションを支える信頼性の高いプラットフォームとして知られています。その高い堅牢性、スケーラビリティ、セキュリティ機能は、依然として多くの企業にとって魅力的です。
しかし、技術の進化とともに、新しいプラットフォームへの移行や最新技術との統合も検討する必要がある時代に来たのも事実です。
以下では、AS400(IBM iSeries)を使い続けるメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
- 信頼性と安定性
長年の実績: AS400は1988年に登場して以来、堅牢で安定したプラットフォームとして評価されています。必要不可欠な日常業務での使用実績が豊富です。
高い稼働率: ダウンタイムが少なく、業務継続性を確保できます。これにより、ビジネスの中断を最小限に抑えることが可能で、事実信頼性には定評があります。
- 総所有コスト(長期目線)の低さ
長寿命: ハードウェアとソフトウェアの耐用年数が長いため、頻繁なリプレースが不要です。
一元管理: データベース、ミドルウェア、オペレーティングシステムが統合されているため、管理コストが低く抑えられます。
- 高いセキュリティ
強固なセキュリティ機能: 内部のセキュリティ機能が強化されており、データの保護がしやすいです。
アクセス制御: ユーザー管理とアクセス制御が容易で、セキュリティリスクを低減します。
- 優れた性能とスケーラビリティ
ハイパフォーマンス: データベース、オペレーティングシステムが統合されているため、大規模なトランザクション処理に適しており、処理能力が早い特徴があります。
スケーラブル: 需要に応じてシステムを拡張できるため、将来の拡張性にも優れています。
- レガシーアプリケーションの互換性
互換性の維持: 長年使用されているレガシーアプリケーションをそのまま使用し続けることができ、再開発コストを低減できます。
デメリット
- 技術者不足
熟練技術者の減少: AS400に精通した技術者が減少しており、新しい技術者の確保が難しくなっています。
若手技術者の育成の困難: 新しい技術に比べて若手技術者がAS400を学ぶ機会が少なく、スキルの継承が課題となります。
- 最新技術への対応遅れ
モダンな技術との統合の困難さ: 最新のクラウド技術やAI、ビッグデータ分析ツールとの統合が難しい場合があります。
ユーザーインターフェースの古さ: 直感的なUI/UX(操作画面)に劣るため、ユーザーの操作性が低下することがあります。
- コスト面の課題
保守コストの上昇: ハードウェアやソフトウェアの保守契約が古くなると、保守コストが上昇する傾向があります。
新規導入の費用対効果: 他のモダンプラットフォームに比べて、新規導入時の費用対効果が低い場合があります。
- ビジネスニーズの変化への対応
システムの機敏性の欠如: ビジネスの変化に迅速に対応するための柔軟性が不足することがあります。
イノベーションの制約: 新しいビジネスモデルやサービスの導入に制約が生じることがあります。
まとめ
AS400を使い続けることには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも無視できません。特に技術者の確保や最新技術への対応が難しい点は、将来的なビジネスの成長を妨げる可能性があります。
そのため、AS400の堅牢性と信頼性を評価しつつも、長期的な視点でモダンプラットフォームへの移行も検討することが重要です。
補足
AS400(IBM iSeries)から次のシステムへの切り替えは、適切な計画と実行が重要です。以下の手順に従うことで、スムーズな移行が可能です:
1. 現状分析と要件定義
現行システムの分析: AS400上で動作しているアプリケーションやデータベースを詳細に分析し、どの機能が新システムに必要かを把握します。
ビジネス要件の確認: 現在の業務プロセスと新システムに求める要件を明確にします。
2. 移行計画の策定
移行戦略の決定: AS400を活かして移行するのか、全く新しいシステムに移行するのか、システムを段階的に移行するのかを決める必要があります。
一般的にはリスクを最小限に抑えるため、段階的な移行が推奨されます。
リソースの割り当て: 必要な人員、予算、ツールなどを計画します。
3. 新システムの選定
適切なプラットフォームの選択: クラウド(AWSなど)かオンプレミス(社内サーバー)かを決定します。
ソフトウェアの選定: ERPシステム(SAP、Oracle、Microsoft Dynamicsなど)やカスタム開発のどちらを選択するかを検討します。
4. データ移行
データの整理: 不要なデータを削除し、移行対象データの整備を行います。
データ移行ツールの使用: データ移行ツールが存在すればツールを使用し、AS400から新システムへデータを移行します。
そのまま移行できないことも多い為、一度ダウンロードしたものに手を加えて新システムに読み込ませるプロセスが発生します。
5. アプリケーション移行
アプリケーションの再設計: AS400で動作していたアプリケーションを新システム用に再設計します。必要に応じてカスタム開発を行います。
テスト: 新システム上でアプリケーションが正しく動作するかをテストします。
6. トレーニングとサポート
ユーザートレーニング: 新システムの操作方法を従業員に対してトレーニングします。
サポート体制の構築: 移行後のサポート体制を確認します。
7. 移行実行とフォローアップ
本番移行: 移行計画に基づき、本番環境への移行を実行します。
詳細な移行計画とリスク管理が成功の鍵となります。
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この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
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