脱エクセル?状況にあった使い分けを
IT導入補助金などで業務のIT化が加速していることを背景にWebシステムやクラサバ系のシステムの導入においてExcelでの管理業務が良くないと言われる風潮もあります。
この記事では、悪者扱いされがちなエクセルであっても使い方によってはメリットの多い活エクセルについて紹介します。
目次
1.はじめに
IT導入補助金などの補助金を活用してIT導入を進めることは、非常に合理的な選択だと思います。
しかしいきなりITシステムを導入してみたものの、結局使わない・使えないことも発生しています。
こうなってしまうとIT導入の費用は無駄でしかありません。
使わなくなってしまった理由として多いのは、
思っていたより使い勝手が悪い、
後から機能が足りてないことに気づき修正しようとしたら、多額の費用がかかるなど
事業者の思い描いていたシステムと乖離していることから発生しています。
このような失敗を避けるために活エクセルの選択肢があることについて紹介します。
2.システム導入の勘違い
システム導入と言うとどうしてもITシステムで電子的に効率化・合理化することを思い浮かべてしまいますが、システム導入は仕組み作りです。
したがって、
ITシステムを導入⇒業務が効率化という認識ではなく。
現状把握⇒合理化できる仕組み(システム)を考案⇒アナログや活エクセルでテスト⇒仕組みを決定⇒仕組みをIT化(電子化)⇒業務が効率化
というプロセスで考える必要があります。
補助金に誘惑されてWebアプリ化ありきで進めると
肝心な合理化できる仕組み作りが疎かになったり、エクセルで十分であった案件にWebシステムを導入してしまったりの過剰品質が発生します。
失敗例)
顧客情報と案件管理そして外部会計システムとの連携をできる業務アプリを導入し動作確認も設計書通りでシステムとして素晴らしいものが完成。
運用開始後1年程度でどのくらいのデータ(レコード)が増えたかと聞くと20件程度とのことだった。
使うのをやめたわけではなく、決まった取引先のみからの受注の為、件数自体はもともと多くないそうだ。
3.検証テスト段階でのエクセルの活用
システム導入は仕組み作りであることから仕組みの検証が重要になります。
いきなりITシステムを入れて机上の仮設でうまく行くものではないのです。
したがって検証テスト段階でまずはアナログで確認することをおすすめします。
例えば、製造業における生産指示システムを例にするとシステムで出力するのは、
取付部品や個数、作業場の注意点あるいはその日の作業終了ロット(終了インター)
だったりします。
ITシステム導入での完成形はデジタル画面で項目を表示することになるのですが、
検証段階ではその日の指示を紙で代用し、まさにアナログで検証します。
そうすることにより机上では気づけなかった多くの問題に遭遇することになるのです。
改善を繰り返し仕組みの精度が良くなった次の段階で活エクセルの出番です。
エクセルにはマクロ機能も有るため思いのほか様々なことができるのが実情です。
もちろんシステムの内容によりエクセルでは難しいものもあるかもしれませんが、
エクセルの機能をフル活用してシステムのモックアップを作り一定期間運用すると
システムならではの問題点や更なる改善点が見つかりシステム構成(要件)の精度が向上します。
ここまで来て初めてITシステム導入を検討すると
必要な機能要件がはっきりわかっているため導入後の失敗のリスクをかなり下げることができます。
この段階になると特に中小企業においては、そもそも検証に使ったエクセルで十分機能を網羅できていることも多く発生するため。無駄なITのシステム導入を避けることもできます。
4.まとめ
ITシステム導入と言うとデジタルシステムで一気に業務が改善するようなイメージがありますが、
実際のシステム導入は、業務を効率化するための仕組み作りで、仕組みを動かすために人間が工数をかければうまく回るようになる内容をデジタルに代行させます。
その仕組みを考え・検証する過程においてエクセルを有効活用すれば、
高い精度でシステム要件を洗い出すことができるため失敗のリスクを減らすことができます。
また脱エクセルという風潮もありますが、データーの量やシステム構成の規模により使い分けることで
脱エクセルなのか、活エクセルなのかを判断しシステムの住み分けをすることが一番効率的なのではないでしょうか。
みなさんの参考になりましたら幸いです。
この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
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