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更新日時:2025.11.11
カテゴリー:blog

ノーコード×スクラッチのハイブリッドで“今月に効果”を出す(名古屋版)

1.はじめに

ノーコード×スクラッチのハイブリッドで“今月に効果”を出す(名古屋版)

「フルスクラッチは重い。でも、ノーコードだけでは心もとない。」
名古屋・愛知の企業からの相談で、このモヤっとした感覚を口にされる方は少なくありません。実はここに、かなり堅実な解き方があります。
それが、ノーコードで“今月に効かせて”、スクラッチで“長く持たせるというハイブリッド設計です。

ポイントは、「どちらが良いか」を争わせないこと。ノーコードには“すぐ動く強さ”があり、スクラッチには“業務に合わせて伸びる強さ”があります。

この2つをうまく並べると、「まず改善してから、必要な部分だけ作り込む」という動き方ができるようになります。

本稿では、名古屋の実情に寄せながら、その考え方と具体的な進め方を、読み物として整理します。

2. なぜハイブリッドが現実的なのか

多くの現場では、システム刷新を待っていられません。

今この瞬間も、Excelや紙、チャット、口頭で仕事は回り続けています。
そこに「数ヶ月後に完成します」とだけ告げても、日々の詰まりは解消されません。

ノーコードの良さは、ここにあります。
問い合わせ管理や簡易ワークフロー、申請フォーム、見える化のダッシュボードなどは、うまく設計すれば数日〜数週間で“それなりに使えるものが手に入ります。

一方で、受発注から在庫、原価、請求までを一気通貫でつなぐような基幹的な処理、複雑な権限、特殊な計算や帳票、他システムとのガチガチな連携は、ノーコードだけで長く支えるには無理が出てきます。

そこで発想を変えます。「1〜3ヶ月で効く範囲はノーコードで立ち上げる」
その運用の中で分かった“本当に必要な要件”を拾い上げ、
「2〜6ヶ月かけて要の部分だけスクラッチで置き換える」
これがハイブリッドの基本線です。

3. まず“今月効かせるエリア”を決める

最初にやるべきことは、難しい要件定義ではありません。
社内の声をざっくり集めて、「今すぐラクにしたい場所」を1〜3個だけ決めます。

例えば、こんなゾーンはノーコードの得意分野です。

問い合わせ対応がメールと電話で散らばっているので、
受付〜対応履歴だけ整理したい。

各拠点から上がってくる日次報告を、1枚の画面で一覧化したい。

紙の申請書(残業・経費・社内申請など)をウェブフォーム化して、承認状況を追えるようにしたい。

Excelでつけている簡易台帳を、入力ミスを減らして共有しやすくしたい。

これらは「完璧な基幹システム」である必要はなく、
「この1ヶ月で“ぐちゃぐちゃ感”が減ったと感じられるか」が勝負です。

ノーコードの画面でサクッと形にして、実際に使ってもらい、その中で
「ここは運用で工夫できる」「ここはどうしてもシステム側でやってほしい」
という線が見えてきます。

4. ノーコード側に置くもの、スクラッチ側に置くもの

ノーコード、スクラッチ役割分担

ハイブリッドをうまくやるコツは、役割分担を早めに決めることです。

ノーコード側には、
「変わる前提のもの」
「使いながら決めたいもの」
「部署ごとに少し違っても困らないもの」
を置きます。

フォーム、軽いワークフロー、タスク管理、集計ビューなど、
現場の動きに合わせて頻繁に手を入れたい領域が向いています。

スクラッチ側には、
「長く守りたいルール」
「他システムと深くつなぐ部分」
「権限や監査、法令対応が絡む部分」
を置きます。

受発注、在庫・ロット管理、原価計算、請求・入金、マスター管理、会計連携などが代表です。

ここは会社の“バックボーン”になるため、あとからでもきちんと設計しておく価値があります。

大事なのは、「最初から全部スクラッチ」でも「なんでもノーコードで済ませる」でもなく、
“バックボーンはあとで作る”前提で、まず周りをノーコードで固めるという順番です。

5. データを“使い捨て”にしないためのポイント

ハイブリッドが失敗するときの多くは、
「ノーコードで作ったものを、スクラッチに移すときに全捨てになる」というパターンです。
これを避けるには、最初から3点だけ意識しておきます。

1つ目は、マスター項目を合わせておくこと
得意先名、品目名、担当者名などを、
ノーコード側でもコード+名称で扱えるようにしておきます。

2つ目は、IDと日付を必ず持つこと
申請、案件、問い合わせなどの単位に固有IDと、
作成日・更新日を付けておけば、
後からスクラッチ側にインポートしやすくなります。

3つ目は、「やってはいけない運用」を最初に決めること
同じ意味の項目を自由入力で乱立させない、
ファイル添付の置き場をバラバラにしない
このあたりを最初に一言ルール化しておくだけで、
移行の手間が大きく変わります。

ここを押さえておけば、
「まずノーコードで試す→うまくいった部分をそのままスクラッチに引き継ぐ」
という流れが自然に取れます。

6.スケジュール感:3ヶ月で“今月効いて、長く効く”形にする

スケジュール感

イメージしやすい進め方としては、こんな流れです。

最初の数週間で、
「今すぐ効かせたいテーマ」を1〜3個に絞り、
ノーコードで画面とフローを作り、実際に使ってもらいます。

この時点で、Excelや紙で起きていた無駄がどの程度減ったかを、ざっくりで良いので数字で捉えます。

次の1〜2ヶ月で、
その運用の中から
「これは恒常的に使う」
「連携や権限もちゃんとしたい」という部分を選び出し、
スクラッチ側の要件として整理します。

ノーコードで集めたデータ形式をそのまま採り込めるように設計すれば、移行もスムーズです。

こうして、1ヶ月目から改善を感じながら、3ヶ月目以降に“長く使える土台”を形にしていく

このリズムがとれると、「作っている間は何も変わらない」という不満も減り、社内の協力も得やすくなります。

7.よくある不安とその答え

「ノーコードを入れたら、そのまま依存してしまいませんか?」という不安があります。

実際には、データ構造とID設計さえ意識しておけば、後からいくらでも出口を作れます

むしろ、何も試さずにいきなりフルスクラッチに突っ込むほうがリスクは大きいです。

「スクラッチに移すとき、二度手間になりませんか?」という懸念もあります。

これは、最初に
「ノーコードは検証と一部本番の場」
「スクラッチはバックボーン」という役割を
社内で共有しておくことで解消できます。

全捨てになる作り方をしないこと、ここだけ意識してください。

8.次の一歩

まずは無料相談でお気軽にご相談ください

#スクラッチ開発 #システム開発 #DX

水谷友彦

この記事を書いた人

株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦

中小企業の業務効率化を
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