リアルタイム進捗×IoT:止めない工場を小さく作る(名古屋版)
1.はじめに

「止めない」を合言葉にIoTを始めようとすると、
多機能なダッシュボードや高価なプラットフォームから検討が始まりがちです。けれど、名古屋・愛知の現場で効いているのは真逆の入り方でした。
“いま困っている停止の1種類”に絞り、“今月から回せる最小構成”で立ち上げる。
そこから、アラート→可視化→自動化の順で小さく広げる。
このリズムだと、投資は薄く、効果はすぐに見えて、現場の協力が自然に集まります。
2. まず決めるのは“どの停止を減らすか”ただ1つ
IoTの構成を考える前に、何を減らすのかを1行で決めます。
たとえば
「小停止(5分未満)の回数を30%減らす」
「段取り替えの再立ち上げ時間を20%短縮する」
「材料切れによる停止をゼロにする」。
KPIは月次で追える数字に落とし、“誰が見ても同じ結論になるカウント方法”を先に文章化します。
ここが定まると、どの信号を拾い、どこに通知し、どの順番で自動化するかが自然に決まります。
3. MVPの設計:信号は“ひとつ”から、通知は“ひとり”から
最初の90日でやることはシンプルです。
1)稼働/停止の判定信号を1つだけ拾う。
2)停止が続いたら、担当者1人にだけ即時通知する。
3)翌朝、日報でチーム全員に“昨日の停止トップ3”を共有する。
信号源はPLCの入出力でも、機械のランプ信号でも、振動や電流センサーでも構いません。
重要なのは、誤検知が少なく、配線と設置が1日で終わること。
通知はチャットやメールで十分。まずは“誰に”飛ばすかを固定し、
「通知が来たら何をするか」の手順を10行で決めておきます。
4. 現場の“1秒×100回/日”を削るUIにする

画面は立派である必要はありません。
作業者が見るのは、ラインの現在状態(稼働/停止/段取り)と、停止理由の入力ボタンだけ。
停止が一定時間続いたら、端末が震えてワンタップで理由を選ぶ。
文字入力は極力させない。管理側の画面も、現在の停止と“過去24時間の山”がひと目で分かれば十分です。見せすぎると運用が重くなります。
5. 連携は“細い管”から。まずCSV、必要箇所だけAPI
IoTの値は、最初からリアルタイムで会計や生産管理に押し込む必要はありません。
まずは時刻バッチ(15〜60分)で“細い管”を作り、
設備ログ→進捗ボード→日報の線を安定させます。
工程実績や原価に効かせたい箇所だけ、
後からAPIでリアルタイム化すれば良い。
名古屋の現場では、“確実な遅延”は歓迎され、“不確実な即時”は嫌われる
——この感覚に合わせたほうが定着が早いです。
6.アラート運用のコツ:鳴らしすぎず、鳴ったら動く
アラートは3段で設計します。
まずは本人通知(静かなバイブレーションや軽い音)、
次に班長通知(一定時間で未対応なら自動で昇格)、
最後に管理通知(長時間・重大停止のみ)。
“鳴ったら誰が何分で何をするか”を最初の朝礼で共有し、
週1の短い定例で鳴り過ぎ/鳴らな過ぎを調整。
初月は“うるさい”と言われるくらいでちょうど良いですが、30日目までに誤報率を10%未満へ落とす意識を持ちます。
7.データの扱い:証跡は“再現できる最小限”にする

ログは、タイムスタンプ・設備ID・状態(稼働/停止/段取り)・停止理由・対応者だけで回ります。
画像や動画は“ここぞ”のときに添付できれば十分。
大事なのは、翌月に同じ集計を再現できること。
統計のための整形は後からいくらでもできますが、当日の生ログがないと、真因に辿り着けません。
保存期間はまず6ヶ月、運用が回ったら12ヶ月に伸ばします。
8.センサー選定:誤検知しない“鈍感な正確さ”を選ぶ
最初のセンサーは、取り付けやすく、環境に強く、誤検知しないことが正義です。
振動で稼働/停止を判定するなら、基礎実験で“常時微振動”と“停止時の沈黙”が明確に分かれることを確認。
電流クランプなら、立ち上がり/立ち下がりでヒステリシスを少し持たせ、カタカタした境界で誤検知しないようにします。
PLCがあるなら、既設の信号を“窓口1つ”に集約して拾うほうが後々の保守が軽いです。
9. 90日ロードマップ:数字が変わる順番に積む

0〜2週目は、対象ラインを1つに絞って信号を1つ拾い、停止の定義とKPIを言語化。通知は本人だけに飛ばし、“鳴ったら動く”練習を始めます。
3〜6週目で、班長への昇格通知と日報の自動作成を入れ、“昨日の停止トップ3”を朝礼で共有。停止理由の選択肢を3回はメンテして、現実に合わせます。
7〜12週目に、別ラインへ横展開し、必要箇所だけAPI連携。
KPIのトレンドが下がり始めたら、段取り時間短縮など次の1行に着手。
ここまでで、小停止回数は20〜30%減、再立ち上げ時間は10〜20%短縮が典型的です。
10.次の一歩
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この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
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