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更新日時:2025.10.30
カテゴリー:blog

アジャイルとウォーターフォールの使い分け(名古屋の実情)

1.はじめに

アジャイルとウォーターフォールのどちらが正解なのか

名古屋・愛知でシステム開発の相談に乗っていると、
「結局、アジャイルとウォーターフォールのどちらが正解なのか」という問いを何度も受けます。
先に答えを言えば、正解は1つではありません。

要件の固さ、現場での変更頻度、そして外部連携の重さという3つの条件を並べて眺めると、
バックボーンは堅く、触りながら決めたいところは柔らかく
そんなハイブリッドが最短になります。

2. まず“3つの条件”で今の立ち位置を言語化する

はじめに確認したいのは、法令や外部仕様で変えにくい要件がどの程度あるかです。

インボイス対応の帳票や会計の仕訳ルール、監査が絡む権限設計といった領域は、後からの方向転換が難しいため、ウォーターフォールの直線的な進め方が噛み合います。

逆に、現場の操作感や承認フロー、ダッシュボードの見せ方などは、会議室では決めきれません。

実際に触ってもらい、短いサイクルで直していくアジャイルの方が速く、安全に着地します。

さらに、PDF出力やバーコード、会計・SaaSとのAPI連携のような“重たい箇所”は、どちらの手法を選ぶにせよ前半で小さく実証しておくと、後半のブレを大きく減らせます。

3. “WFは遅い”は誤解。要件が固い領域ではむしろ速い

ウォーターフォールは、要件→設計→実装→試験→移行→検収と一直線に進めます。

曖昧さが許されない領域ほど、再作業が少なく、結果として早く終わるのが現実です。

コツは、分厚い資料を作ることではなく、検収に使う観点
画面の振る舞い、帳票の必須項目、性能やログ、運用手順
を設計段階で文章化しておくこと。

設計書を“読むための資料”ではなく“完了の定義(DoD)”に直結させると、後半で迷いません。

4. “Agileはフワッとしている”も誤解。計測できる小さな勝ちを積む

アジャイル開発

アジャイルが力を発揮するのは、
現場の1秒を100回/日削るようなUIの磨き込みや、
運用の摩擦を洗い出す場面です。

1〜2週間で試作を出し、実際に触ってもらって動画やスクリーンショットで体験を共有すると、
仕様の議論が一気に進みます。

ここで大切なのは、KPIを先に決めておくこと。

例えば処理時間、入力ステップ数、未請求件数、棚卸差異など、
月次で追える数字に対して「今回のスプリントで何をどれだけ減らすのか」をはっきりさせます。

会議は週1回30〜60分、意思決定者が席に着く運用にすると、スピードが落ちません。

5. 名古屋流ハイブリッド:背骨はWF、周辺はAgile、重たい箇所は前半PoC

実務では、
受発注から原価、請求までの“バックボーン”をウォーターフォールで固め、
同時にUIや承認、可視化はアジャイルで触りながら仕上げるのがうまくいきます。

帳票はまずA4のミニ版で発行し、
会計連携はCSVでもよいので前半に一度通しておく。
PDFやバーコード、外部SaaSのAPIはスプリント0〜1で小さく動かし、

できる・できない・時間がかかるを早めに見切ります。

結果として、
見積とスケジュールの“地雷”を前倒しで処理でき、全体の行程が読みやすくなります。

6.契約と検収は“境界を曖昧にしない”ことが命

ウオーターホール、アジャイル、ハイブリッド

ハイブリッドで進めるほど、契約の境界が重要になります。

ウォーターフォールで作る背骨の部分は請負契約とし、設計・試験観点・DoDを付帯文書に落とし込みます。

一方、アジャイルで進める周辺は準委任契約で、スプリントごとの成果(デモや計測結果)を納品物に含めます。

プロジェクト全体では、A=今回、B=次期、C=当面やらない、という優先度を常に更新し、変更管理の記録を残しておくと、後からの説明や補助金の実績報告にもそのまま使えます。

7.よくある誤解を先に解いておく

「アジャイル=ノープラン」という先入観は捨ててください。

実際は計画を短いスパンで更新する手法で、KPIとスプリントゴールがないアジャイルは、ただの行き当たりばったりになりがちです。

「WF=遅い」という見方も同様に誤解です。
設計書を検収のチェックリストに直結させれば、会計や権限のような後から変えにくい領域ではむしろ速く、確実です。

そして何より、どちらか1つを選ぶ必要はありません。
バックボーンはWF、周辺はAgile、重たい箇所は早期PoC
この組み合わせが、名古屋の現場では着実に成果を出しています。

8. 3ヶ月で“動く骨格+使える画面”を作る道筋

3ヶ月で“動く骨格+使える画面”を作る道筋

最初の2〜3週間はスプリント0として、
As-Is/To-Be/MVPを1行ずつ言語化し、
テストデータを流し込み、
PDFや連携、
バーコードの小PoCを済ませます。

環境やログ、権限の初期設定もここで固めます。

続く2週間で、バックボーンの設計を締めながら、
1画面だけアジャイルで試作し、
ユーザーテストを経て手触りを整えます。

さらに2週間で受発注から請求までの最小ループを通し、
会計のCSVや仕訳の試験を行い、
処理時間や未請求のKPIを日次で記録し始めます。

ここまで到達すれば、“動く骨格”と“使える画面”が揃い、

4ヶ月目以降は次期項目を順に積み上げ、
2〜4週間の並行運用で移行を畳むだけです。

9.次の一歩

まずは無料相談でお気軽にご相談ください

#スクラッチ開発 #システム開発 #DX

水谷友彦

この記事を書いた人

株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦

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