製造現場でシステムを導入する前にやるべきこと
原価高騰や人材不足などを背景に製造現場における効率化は年々需要が高くなっています。
しかしDXやIoTという言葉だけが一人歩きしてシステムを導入すれば、
製造現場の業務が効率化できて、人員不足や稼働時間の圧縮に貢献できるという
夢を見てしまっている人も少なからず存在します。
この記事では、電子的なシステムを導入する前に本来製造現場でやるべきことと
基本が整って初めてシステムが活きることについて紹介します。
目次
1.製造現場の基本
標準作業
- 人の動きを中心としたもの
- 繰り返し作業であること
を前提の条件として、
人の動きを中心として仕事を集め、無駄のない手順で効率的な生産をするやり方で、
※タクトタイム、作業順序、標準手持ちの3要素からなるものをを標準作業と呼びます。
ポイントは、繰り返し作業で作業順序をきちんと決めて
売れるスピードで生産することにより、作業のムダが明確に見えるようになることです。
※タクトタイム:日当たり稼働時間(定時)/日当たり生産必要数
作業順序:作業者が一番効率的に良品の生産が出来る作業順序
標準手持ち:繰り返し作業が滞りなく継続的に作業できるように、工程内に持つ最小限の仕掛品
大手製造メーカーでは、生産ラインにコンベアが引かれていることが多く
半強制的に作業ペースや繰り返し作業の概念が発生しますが、
中小企業の場合、コンベアがない場合や、製品の多くがパッケージ品ではなく
特型品であったりすることが多く、タクトタイムの考え方やペースメーカーがなかったりするのが実情です。
しかしタクトタイムという考えがないにしてもペースメーカーは必要で、
予測作業時間の精度を上げて作業のムダを見えるようにすることが、
業務効率化の最初の1歩です。
小規模事業者の中には、作業ペースなどが明確になっておらず、
作業者個人任せで1日の最低稼働時間を稼働しそれでも納期に間に合わなそうなものがあれば、
残業をお願いするスタイルになっており
日中の生産過程で効率的に作業できているかどうかは、
傍からは見えないためブラックボックスになっています。
したがって、製造現場の基本となる標準作業をきちんと整備して初めて
ムダが見えるようになるため、アナログでの仕組み作り(標準作業)が重要になります。
この標準作業の仕組みの先にムダの削減ツールの1つとして電子的なシステムが登場するのです。
2.まとめ
生産現場の効率化として近年、DX、IoT、AIなどという言葉が喧伝されていますが、
中小企業の製造現場の多くは人が介在することがほとんどです。
したがって、デジタルに夢を見てしまうのではなく、まずは自社製造工程におけるムダを
見つけられる状態にする、製造現場の仕組み作りをきちんと行った後、
見つかったムダを効率化するツールの1つとして
電子的なシステム導入を検討するのが正規の製造現場効率化ルートだと考えます。
もちろん電子的なシステム導入の際は通常の設備導入と異なった側面もありますので注意が必要です。
この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
中小企業の業務効率化を
デジタル戦略でサポート