AIを取り込んだシステム開発のハードルとは?

1.はじめに
近年、生成AIや機械学習を活用したサービスが急速に普及し、「うちの業務システムにもAIを組み込みたい」と考える企業が増えています。
しかし、実際にAIを取り込んだシステム開発を進めようとすると、従来のスクラッチ開発やWebシステム構築とは違った“独特のハードル”に直面します。今回はその代表的なポイントを整理してみます。
2. 要件定義の難しさ
通常の業務システムであれば、入力と出力のルールを設計し、処理フローを定義することで要件が固まります。
ところがAIを組み込む場合、「どの程度の精度を許容できるか」「誤判定時の業務フローをどうするか」といった曖昧さを含んだ要件定義が必要です。
たとえば「AIで契約書を自動仕分けする」といっても、90%正しく仕分けできれば十分なのか、それとも99%を目指すのかで、必要な学習データやコストが大きく変わります。
3. データ準備のハードル
AIは学習データなしには機能しません。
しかし現場のデータは「フォーマットが揃っていない」「ラベル付けがされていない」「そもそも量が足りない」といった問題がつきものです。
AI導入プロジェクトの多くは、実際にはこの“データ整備フェーズ”に大部分の工数を割くことになります。
4. 技術選定の複雑さ
AIを取り込む方法にも選択肢があります。
- 既存のクラウドAIサービス(ChatGPT API、Vision APIなど)を利用する
- オープンソースモデルを自社環境に組み込む
- 独自にモデルを学習・チューニングする
それぞれコスト・精度・セキュリティに違いがあり、「どの方式が自社に最適か」を見極めるのは容易ではありません。特に、外部クラウドを利用する場合はデータの扱いに細心の注意が必要です。
5.運用・保守体制の課題

AIを一度組み込んで終わり、というわけにはいきません。
モデルは時間が経つと“劣化”し、精度が落ちていきます。そのため、継続的なデータ収集と再学習、モニタリングが欠かせません。
また、「AIが間違えたときに誰がどのようにリカバリーするか」という運用ルールを組み込む必要があります。ここが従来のITシステムと大きく違う部分です。
6.費用対効果の見極め
AIは魅力的ですが、導入コストや運用コストが小さくありません。
「AIを導入すれば自動化できる」と考えがちですが、実際には人のチェック体制やデータメンテナンスが不可欠です。
そのため、「導入後にどれだけ業務効率化につながるのか」「投資に見合うリターンがあるのか」を冷静に見極めることが重要です。
7.まとめ
AIを取り込んだシステム開発には、従来のIT開発とは異なるハードルが存在します。
- 要件定義の曖昧さ
- データ整備の負担
- 技術選定の複雑さ
- 運用・保守の難しさ
- 費用対効果の見極め
これらを理解した上で、まずは小さな実証実験(PoC)から始め、段階的に導入していくのが現実的なアプローチです。
#スクラッチ開発 #オーダーメイドシステム #AI

この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
中小企業の業務効率化を
デジタル戦略でサポート