工程管理システムをWeb化するメリットデメリット
この記事では、製造現場における工程管理システムを
Webアプリケーション化するメリット・デメリットについて紹介します。
目次
1.結論
IoTやDXが急がれる今日、インターネットを介して
データーを取り出しやすいWebアプリケーションは、
場所やデバイス端末に縛られることなく閲覧や編集操作が可能なことからメリットが大きいです。
セキュリティーの一貫としてインターネットを利用しないと
決めている企業(大手に多い)にとっては、
Webアプリケーションを選択するにはかなりのハードルがあるのも事実です。
メリットデメリットを従来のクライアントサーバー系とwebアプリ系で比較すると
以下の通りです。
工程管理システムを構築する業者のほとんどは、
これまでクラサバ系をメインで扱ってきた背景があり
単純比較できないセキュリティーリスクを理由に
自社得意分野のクラサバ系を推奨する傾向があります。
2.工程管理システムをWeb化するメリット
- PCの入れ替えやwindowsシステムのアップデートに伴うデバイスの初期設定が不要
- インターネットに繋がっているためIoTの柔軟性が備わっている
Web化するメリットは、インターネットブラウザにより動作するため
買ったばかりのPCやスマホ、タブレットでも簡単に接続できる点です。
日々の品質管理帳票などをタブレットから直接入力して、
収集されたデータを事務所のスタッフがPCで確認
さらに出張中であっても確認するような流れは当然のように可能です。
すでにインターネットに繋がっているため各工程のデーターと
その日の気温などのデーターをインターネット上から取得して組み合わせることで、
品質動向の分析や前もってパラメーターを調整・最適化することが可能になります。
3.工程管理システムをWeb化するデメリット
- 汎用性の高いインターネットブラウザを使うため細かな機能追加には制約がある
- 処理をサーバー1か所で行うためクラサバよりも負荷がかかる
インターネットブラウザを使用するため、凝った機能には対応できない場合があります。
例えば、クラサバ系において社内共有フォルダに保存してあるエクセルファイルを
アップデートして保存するような仕様は、
Webシステムだとアップデートして保存ではなく、
Web上にある原本データを毎回エクセル形式で出力ダウンロードする流れになってしまいます。
また処理速度に関しては、クラサバ系はサーバーとそれぞれのPC端末に情報処理の負荷を分散できたのに対し
Webアプリはサーバーだけで処理する分負荷が大きくなります。
ただ今日のサーバー処理能力向上や通信インフラの高速化により
ビックデーター解析のような膨大なデータ処理が発生しない限り大きな差はありません。
4.よく危惧されるセキュリティーの懸念
Web化でよく言われるのが情報漏洩や不正アクセスです。
Web化するとインターネットに繋がることになりますので、
世界中のハッカーが攻撃できるできる状態となります。
この状況に対してアクセスできる通信方式を制限する。
特定のIPアドレスのみアクセスできるようにする。
2段階認証を設置する。
など様々な対策が存在します。
大手ECサイトやSNSなどが管理システムに侵入されてサービス停止を起こさないように
適切な対策を講じればリスクを低減できます。
一方でクラサバ系は「インターネットに接続されてないから安全か?」という問いに対して
デバイスの管理工数がかかることやアップデートによる不具合発生の懸念があるため
システムのアップデートを遅らせていることは多々あります。
このような状況において不意に使用したUSBメモリから社内全体にウイルス感染が拡大するといった事案は珍しくありません。
5.まとめ
工程管理システムをWeb化するメリットは多くあります。
もちろんクラサバ系のシステムにもメリットはありますが、
サーバー処理能力や回線速度の向上により
Webアプリケーションという選択肢が追加されたことにより
効率化できるアイテムは増えたのではないでしょうか。
クラサバ系とWebアプリ系の比較においてセキュリティーの話が出ることは多いですが、
この2つにはそれぞれ違った種類のリスクが伴っており
事業者によっても2種類のリスクを天秤にかけた時答えは分かれるのではないでしょうか。
以上工程管理システムのWeb化を検討されている事業者様の参考になりましたら幸いです。
この記事を書いた人
株式会社ウェブロッサムの
代表:水谷友彦
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